忘れるということ

忘れるということがさ、悪いことではないとして、

それでも本当に、本当に、私は忘れることが怖くて、でもそれよりももっと、忘れたことを忘れるということがめちゃくちゃに怖くて、今それに直面している。目の前に、忘れるということが見えている、忘れている自分が、そして忘れたことさえ忘れるであろうちかい未来の自分まで透けて見えてしまっている。

何か自分が大切なものを持っていた気がする、それを冷凍保存したりなんかして、腐らせないように置いておけるならいいのに、持っていたことを忘れ、消費したことを忘れ、それで生きていて、ふとした瞬間に思い出す。何か持ってた気がする、って。

でもそれが何だったかも、自分にとってどれだけ大切だったかも思い出せない。

 

そういうことがこれまでに沢山あって、そういうことの繰り返しで、今、のことも、全部多分そうなって、って思うと、

せめて今だけは、意味なんてなくても、早まりすぎてるとしても、悲しませてほしいと思う。将来弔いもされずほったらかしにされてるだろう墓石があるなら、せめて、それが墓石としてのしるしとしての意味を為している今くらいは、大切にしているふりをしたい。

 

君たちとの時間は、私にとって、いつか、特段に大切だったものではなくなるのかもしれないけど、確かにあったのだということを、大切にしていたということを、すべてだったということを、今はそう思ってたいです。